青汁の栄養成分を原料別に解説
よく「現代人は野菜不足」ということを耳にします。では実際に日本人の野菜摂取量はどの程度足りていないのか、ご存知でしょうか?
ここに厚生労働省が平成25年に発表したデータがあります。「21世紀における国民健康づくり運動(第2次 健康日本21)」によると、日本人の1日あたりの野菜の平均摂取量は283.1g。健康維持に必要な摂取量は成人で350g以上とされていますので、70g程度足りていないということになります。
調査によると全ての世代で野菜が不足していることがわかるのですが、とりわけ20代から40代に関しては目標の3分の2程度しか摂取できていません。「あと1皿」がなかなか食べられていないというのが現状なのです。
ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれ、糖尿病や高血圧、脂質異常症、癌などのリスクの軽減に効果を発揮すると考えられている野菜の摂取は、忙しい現代人にとっての大きな課題。
そのクリアのお手伝いをしてくれるのが青汁です。今回は、より効率的に野菜不足を解消するためにはどんな青汁を選べばいいのかを考えてみることにしましょう。
ケールと大麦若葉の栄養成分比較
青汁の主要な原材料として人気を二分しているのが大麦若葉とケール。この2つのどちらが栄養価にすぐれているのかは、青汁を選ぶうえで大いに気になるところなのではないでしょうか。
大麦若葉については厚生労働省のデータが公開されていないため、同じ条件下での栄養価を比較することができないのですが、ファンケルがケール粉末と大麦若葉粉末の栄養成分比較データを発表していますので、まずはそれをご紹介することにしましょう。
ケールパウダー(ミネラル農法)・大麦若葉パウダー100g栄養比較
ケール | 大麦若葉 | |
β-カロテン | 19,100μg★ | 7378.9μg |
ビタミンB1 | 0.4mg | 0.7mg★ |
ビタミンB2 | 1.0mg | 2.1mg★ |
葉酸(B9) | 870μg | 1,052.6μg★ |
ビタミンC | 241mg★ | 18.9mg |
ビタミンE | 18.6mg★ | 6.9mg |
カルシウム | 2,180mg★ | 468.4mg |
マグネシウム | 409mg★ | 134.7mg |
カリウム | 3,170mg | 3,610.5mg★ |
鉄 | 5.2mg | 14.2mg★ |
ルテイン | 38.2mg★ | 25.6mg |
総クロロフィル | 491mg★ | 383.2mg |
食物繊維 | 31.3g | 40.3g★ |
多い方の数値に★印をつけてみました。上記のデータからは、どちらかが圧倒的に栄養価で上回っているというわけではなく、
ケール:
β-カロテン・ビタミンC・ビタミンE・カルシウム・マグネシウム・ルテイン・総クロロフィル
大麦若葉:
ビタミンB1・ビタミンB2・葉酸・カリウム・鉄・食物繊維
がより多く含まれているという特徴が分かります。
このように、成分・栄養素の比較から「わたしはカルシウムを補給したいからケール」「食物繊維を摂りたいから大麦若葉」という具合に青汁を選ぶのもひとつの方法ですし、どちらの栄養価の高さも捨てがたいということで、ケールと大麦若葉の両方が入っている青汁を選ぶというのも良い方法だと言えるでしょう。
成分表示だけの青汁の比較では限界がある
成分表示を比較して青汁を選ぶという方法は説得力があり、現実的でもありますが、いくつか留意しておくべき点も存在します。それには、
2.商品化するまでの工程や別の素材とのブレンドによって、実際の数値は大きく変化する。
3.各原材料の特徴な成分(例:ケールならメラトニンやスルフォラファン、大麦若葉ならSODなど)が考慮されていない。
などの事柄が挙げられます。
特に1の「いつ収穫したものを使用するか」という点については同一の製品においても言えることで、例えば冷凍のケール青汁では収穫時期によって明らかに味わいに変化が見られます。原材料の状態が異なれば製品の栄養価も変わることがイメージできる良い例なのではないでしょうか。
しかし実際の青汁の成分表示で製造ロットごとに数値を明らかにするのは不可能に近いでしょう(上限、下限を記載しているメーカーは非常に良心的だと言えます)。製造から時間が経過するにつれて栄養価が減少していくことも考えられますし、今飲んでいる1杯でどれだけの栄養が摂れているのか正確な数字はわからないというのが実際のところなのです。
したがって、「青汁を飲んでいるから栄養面は大丈夫」ではなく、数字はその製品の栄養の傾向を示すものと考えて、あくまでも食事を補助するものとして捉えるのが青汁の正しい飲み方だと言えるでしょう。
なお、今回のファンケルのデータは、ケールの青汁のみを取り扱っているメーカーでありながら大麦若葉の方がすぐれている点も公開していることから、ある程度信頼のおけるものと考えご紹介しました。
ただ、青汁メーカーの広告の中には、自社の取り扱う原材料が勝っている点しか明らかにしていないものも少なくありません。他のデータを参考にされる場合には、ぜひその点も考えあわせてチェックされることをおすすめします。
青汁の王道、4つの原材料の栄養成分
青汁に使用されている原材料から栄養成分やその効能を推し量ることも可能です。
青汁でよく使われる原材料といえばケールに大麦若葉、明日葉、桑の葉などがあります。王道とも言えるこれら4つの材料について、栄養面から見た特徴を簡単にまとめてみました。
1.ケールの栄養成分・効果・効能
青汁の原材料の元祖、ケール。よく「緑黄色野菜の王様」と称されますが、その名の通り栄養価が非常に高く、ビタミンB12、D以外の全てのビタミンとバラエティに富んだミネラルを豊富に含んでいます。
特にビタミンAや葉酸、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、カルシウム、マグネシウム、カリウム、クロロフィル、食物繊維などが多く、抗酸化作用があり目の健康を守るルテイン、睡眠のサイクルを整え不眠症に良いとされるメラトニン、胃がんや胃潰瘍の原因ピロリ菌を撃退するスルフォラファンなども含まれています。
2.大麦若葉の栄養成分・効果・効能
ケールと並んで青汁の主役的存在となっている大麦若葉。苦味のあるケールとは異なり、ほのかな甘味と香ばしさを持っています。
大麦若葉にはビタミンA、ビタミンB群、ビタミンE、銅、鉄、ルテイン、クロロフィルなどをバランス良く含むのはもちろん、妊娠中の補給が必須となる葉酸、骨粗鬆症に効果を発揮するビタミンK、むくみを解消するカリウム、強い抗酸化作用を持ち高血圧や糖尿病などへの効果が期待されるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)が豊富に含まれています。
3.明日葉の栄養成分・効果・効能
ケールに勝るとも劣らない栄養価の高さを誇る明日葉。滋養強壮やむくみ解消作用には昔から定評があり、とりわけビタミンA、ビタミンB群、ビタミンE、ビタミンK、カリウム、鉄分、亜鉛、銅、マンガン、食物繊維はケール以上の栄養価を示すデータもあるスーパー野菜です。
血糖値やコレステロール、血圧を下げる作用が確認されているカルコン、血液さらさら効果と抗アルツハイマー作用を持つクマリン、利尿作用や抗酸化作用、血糖値を抑える作用を持つルテリオンなどが注目の成分として挙げられます。
4.桑の葉の栄養成分・効果・効能
健康茶としてよく飲まれている桑の葉もよく青汁の原材料として利用されています。特にカルシウムやカリウム、鉄はケールや大麦若葉を凌ぐ栄養価を持っています。ビタミンB群や食物繊維、血圧の上昇を抑えリラックス効果を持つγ-アミノ酪酸(ギャバ)が豊富に含まれる点も魅力のひとつです。
血糖値の上昇抑制作用とダイエット効果で注目されるDNJ(1-デオキシノジリマイシン)、血圧や血糖値の上昇や悪玉コレステロールの増加を抑えて動脈硬化を防ぐQ3MGといった期待の成分も含まれています。
栄養価の高い有機栽培の原料を使った青汁を
同じケールや大麦若葉であっても産地や作り方によって大きく栄養価が変わってくることが考えられます。
特に化学肥料や農薬を使用せず有機農法で育てられたオーガニックの野菜は、通常の農法で作られたものより栄養価が高いというデータがあります。
安全性の高さという魅力もありますので、栄養価にこだわって青汁を選ぶのなら、ぜひ有機栽培の原材料が使用された青汁を選ぶようにしましょう。