青汁とは?

青汁とは?
農林水産省は健康維持のための1日の野菜摂取量として350gという目標値を掲げています。しかし、この目標値をクリアするだけの野菜を毎日食べられている人はあまり多くなく、特に20代~50代の働きざかりの世代は男女ともに野菜が全く足りていない状態であることがわかっています。

そんな中で、手軽に野菜不足を補う方法としてすっかり定着した青汁です。緑色なのに「青汁」、よく考えればちょっと不思議なネーミング青汁とは、そもそもどんな飲み物なのでしょうか?野菜ジュースと青汁は何が違うのでしょうか?青汁の定義や青汁の由来、青汁の原料としてケールが選ばれた理由などを解説します。

青汁の定義

青汁とは生の緑葉野菜を搾った汁のことを指します。最も有名なのはケール大麦若葉で作られたもの。その名前の通り、ジュース状、もしくはジュースを冷凍した形で販売されているものもありますが、現在最も多く出回っているのは加工して粉末状にしたものを液体に溶かして飲むタイプ。

このほか、錠剤にしたものを水などで飲むものやゼリータイプのものも含めて青汁と呼んでいます。

また、基本は緑葉野菜で作られたものなのですが、それに緑黄色野菜全般や淡色野菜、果物などを加えて作られているものを含めて「青汁」と呼ぶのが一般的です。

そのあたりは野菜ジュースとの線引がやや曖昧ですが、緑葉野菜をメインに使用していて、ジュースの色が緑色であれば青汁と呼んで間違いないでしょう。

最近では野菜や果物だけではなく、コラーゲンなどの美容成分や他の栄養成分が配合された商品も次々と登場しています。

青汁がどれだけ多様化しても、生の新鮮な野菜を使用して作られることが譲れないポイントであるのには変わりありません。

野菜にはわたしたちの健康にとって不可欠なビタミンやミネラルがたくさん含まれているのですが、特にビタミンは収穫から時間が経過したり加熱することによって失われるものが少なくないからです。

そのロスを最小限に留めるには新鮮な野菜を生で使用するのが一番。どれだけ製造方法に工夫を凝らしたとしても、緑色をした新鮮な生野菜があってこその青汁なのです。

青汁の由来

緑色のジュースなのになぜ青汁と呼ばれているのでしょうか。これについてはWikipediaにこのように説明されています。

色が緑なのに「青」汁としているのは、野菜を「青菜」などと表現する日本語古語での用法の名残である。

引用元:青汁 - Wikipedia

ただしこの青汁というネーミングについては、「青汁の父」遠藤仁郎博士の奥様が使っていた「青汁(あおしる)」という呼び名がそのまま使用されるようになったのが実際のところのようです。

遠藤仁郎博士の著書『もっと緑を!』によると、大阪女子医学専門学校の教授を務めていた博士が青汁を初めて作った当時、女性医師や女性看護師たちとの間では「グリュン・ザフト(ドイツ語でグリーン・ジュースの意味)」と呼ばれていたとのこと。

グリュン・ザフト――あまり馴染みのない言葉だけに、まるで薬のようにも聞こえてしまいますね。しかし医療では素人だった奥様のシンプルな「青汁」という呼び名のほうが、より野菜のパワーをダイレクトに伝えてくれるように感じるのは筆者だけの印象でしょうか。

青汁誕生の経緯

現代人の野菜不足解消と健康維持に貢献してくれる青汁。その成り立ちは第二次世界大戦最中の食糧難が大きく関係していました。その始まりは、遠藤博士の住居近くにたくさん植えられていた大根。白い根の方は食料としてどんどん運ばれていくのですが、緑の葉の方はそのまま打ち捨てられています。

これを何とか食料にできないかと思い立ったのが博士の青汁開発の出発点だったのだそうです。

大根菜の栄養価を調べてみると、普段わたしたちが食べている根の部分よりもビタミンやミネラルが遙かに多く含まれていることをご存知でしょうか?

博士は最初、この大根菜を乾燥させ、石臼で挽いたものを炒っていたのだといいます。しかしこれを毎回作るのはなかなか大変なこと。

それに野菜の栄養を余すことなくいただくには、やはり生のまま食べるのが一番です。かといって、生野菜のままでは十分な量を食べられません。そこで思いついたのが、搾るということ。

緑の葉を搾ってその汁を飲むと良いという考え方は、今から1000年も前に書かれた日本最古の医学書『医心方』や、16世紀の中国は明朝の李時珍によって書かれた『本草網目』の中にすでに存在していました。博士の発想はこれらについての知識がベースにあってのものだったようです。

当時は栄養不足から病気になったり体調を悪くする方が多かったのでしょう。大根菜や博士が住む自宅の空き地にあった水菜を搾った汁は、病気治療や健康維持に対して面白いように効果を上げていったそうです。

ちなみに大根菜はビタミンA、C、E、カルシウム、鉄、葉酸、食物繊維が豊富。そして水菜はビタミンA、ビタミンC、カルシウムが豊富に含まれています。

現代に生きるわたしたちにとっては、大根菜や水菜をとりわけ栄養価の高い野菜として認識することはあまりありませんが、現実的に必要とされる栄養素がしっかり摂れるだけのすばらしい実力を秘めた野菜たちだった、というわけですね。

遠藤博士が考案した黎明期の青汁は、博士の戦争中の配属先や、大阪女子医専からの転属先となった倉敷中央病院でも大きな成果を残しました。

飽食の時代である現代に「カロリーよりビタミン・ミネラル」という発想が出てくるのは難しくありませんが、しかし食糧難の時代にあえて穀類や肉、卵ではなく野菜というのは、なかなか理解を得られないことも多かったのではないでしょうか。

青汁用の野菜としてケールが選ばれた理由

今でこそ大麦若葉を始めとしたいろいろな材料を使った青汁は珍しくありませんが、少し前までは青汁と言えばケールを使用したものがほとんどでした。

八名信夫さんが出演されたキューサイのCMの「まずい!もう1杯!」というセリフも、ケールの独特の味から思わず八名さんが発してしまった一言がそのまま採用されたというのは有名な話です。

ケールは地中海沿岸を原産とするキャベツの仲間。日本のスーパーではほとんどお目にかかることはありませんが、本場のヨーロッパではスープなどの具材として食卓にもよく上る野菜です。和名を緑葉甘藍(りょくようかんらん)、または羽衣甘藍(はごろもかんらん)といいます(甘藍というのはキャベツの別名です)。

昭和20年代、遠藤博士が当時日本で全く知られていなかったケールを青汁用の野菜として選んだ理由は、温暖な気候の中では年間を通して栽培が可能で、安定した収穫が見込めたことに加え、栄養価の高さが挙げられます。

ケールの最も特徴的な点はビタミンやミネラルを満遍なく含んでいること。中でもビタミンCとKが豊富で、ビタミンの含有量は全ての緑黄色野菜の中でもトップクラスを誇っています。そのため、ケールのことを「緑黄色野菜の王様」と呼ぶことも。

癌の予防や素晴らしい抗酸化作用で最近話題となったブロッコリースプラウトも、実はケールと同じアブラナ科の野菜です。ケールにもブロッコリースプラウトに負けない抗酸化作用や免疫力を向上させる作用、生活習慣病への働きがあることが注目され、研究が進められています。

青汁多様化の時代

青汁の健康への働きを考えればこれ以上ないほどのパワーを持つケールなのですが、ただひとつ問題点がありました。

それは「味」。ケールは収穫した時期によって風味がかなり異なり、甘味のある時期と苦味の強い時期とがあります。が、いずれも濃厚で青臭さがあるのは共通しているため、その独特の風味を苦手だと感じる方も少なくありません。

それはさきほどもご紹介したCMのセリフや、テレビなどで罰ゲーム用のアイテムとして扱われていたところからもわかります。

個人的には罰ゲームとして飲むというのはちょっと酷いなと感じてしまいますが、それが逆に青汁の効果にスポットライトが当たるきっかけとなったのは面白いところでもあります。

最近ケールと肩を並べる形で青汁によく使用されているのが大麦若葉です。これは大麦をまだ育ちきらないうちに刈り取ったもの。これから成長するための栄養素がたっぷりつまっている注目の素材です。

ビタミンCの含有量など一部ケールには劣るものもありますが、ビタミンB群や鉄、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富。ビタミンAやEも十分に含まれています。何より香ばしくてほんのり甘く、緑茶のような風味を持つのが魅力。

最近の青汁がおいしくなったと言われるのも、この大麦若葉の登場によるところが大きいのです。

大麦若葉の他によく採用されているのが明日葉や桑の葉。いずれも栄養価が高く、抗酸化作用や血糖値、コレステロールに働きかける作用、ダイエットへの働きが注目されている素材です。また、よもぎやゴーヤ、アロエといったビタミンやミネラルに加え独自の有効成分を含むものがプラスされている商品も増えてきています。

進化する青汁

元祖青汁素材のケールの方もどんどん改良が進んでいます。特に粉末タイプのものだと、大麦若葉と比較しても遜色のない飲みやすさを実現している商品が少なくありません。

はちみつを足して苦味や青臭さがぐっと緩和されているものや、ケールと大麦若葉をブレンドして栄養バランスをさらに良くした商品が人気を博しています。

その一方で自然志向の高まりからか、昔ながらの青臭い青汁こそが本物の青汁!と考える人も少なくないよう。ケールを搾ったそのままを容器にパックしたものや冷凍して販売されているのがそれにあたります。

粉末タイプのものと比べるとどうしても飲みにくくはあるのですが、栄養価の高さには目を見張るものがあり、1杯で1日の野菜摂取目標量の3分の2程度をカバーするような商品もあります。

飲みやすさや利便性を求めるのなら粉末タイプを、より積極的に野菜成分を摂取したり健康への効果を求めたいのなら冷凍タイプを、と選択肢が増えている青汁。あなたの美容と健康のために、ぜひお役立てください。

中河環

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