青汁に含まれるイソチオシアネートの効果

青汁に含まれるイソチオシアネートの効果
野菜不足を手軽に補給できるのが青汁のいいところ。でも生野菜を食べるのと青汁を飲むのとは全く同じではありません。そう書くと「やっぱり青汁では野菜を食べる代わりにならないのかな?」と思われそう。

確かに粉末状に加工する過程や長期保存する間に減ってしまう栄養素もあります。でも逆に、野菜サラダや煮物などではなかなか摂りきれない成分が、毎日たった1杯の青汁で補給できるケースもあるんです。その代表的なもののひとつに「イソチオシアネート」と呼ばれる成分があります。

イソチオシアネートってどんな成分?

イソチオシアネートはアブラナ科の野菜に含まれている辛味成分で硫化化合物の一種。フェニチルイソチオシアネートやスルフォラファンなどの種類があります。

アブラナ科の野菜には大根やわさび、キャベツ、白菜などのほか、青汁でよく使用されるケールや小松菜、ブロッコリーなどがあり、これらからスルフォラファンを摂取することができます。

近年ブロッコリースプラウトの効能が大いに話題を呼んでいますが、最も多くスルフォラファンを含んでいるのがそのブロッコリーの新芽であるブロッコリースプラウトなのです。

わさびや大根はともかくとして、ケールや小松菜に辛味成分が入っていると言ってもピンと来ない方も多いのではないでしょうか。実際のところ、大根やケールをそのまま食べてもイソチオシアネートが摂取できるわけではありません。

イソチオシアネートはその前段階の状態でこれらの野菜の中に存在しています。そして、すり潰したり十分に咀嚼したりすることで細胞が壊れ、それまで別々に存在していた酵素ミロシナーゼと合わさることで反応が起こり、初めてイソチオシアネートが生成されるのです。

煮ると甘くなる大根ですが、すりおろせば辛くなりますね。これがまさにその状態。そしてこの辛くなった大根にわたしたちの体に素晴らしい効果をもたすイソチオシアネートが含まれているというわけです。

ところでイソチオシアネートの生成に欠かせない酵素ミロシナーゼには熱に弱いという性質があります。そのため、これらの野菜には熱を加えず生で食べるのがベスト。長時間煮たり焼いたりするとせっかくのイソチオシアネートが作られなくなってしまうので注意が必要です。

青汁には辛味は感じませんが、原材料を粉砕する工程を経て作られますし、その際の加熱も短時間です。イソチオシアネートを摂取するのに青汁はきわめて合理的な方法だと言えるのです。

イソチオシアネートにはどんな効果がある?

ではイソチオシアネート(スルフォラファン)にはどんな効果があるのかをひとつひとつ見ていくことにしましょう。

1.癌の予防

イソチオシアネートのヒトに対しての抗癌作用が具体的に確認されたのは1990年代に入ってからのことですが、可能性についてはすでに1970年代から論じられ、研究が重ねられていました。

わたしたちの体には体内に取り込まれた発癌性物質を無毒化し、体外に排出させる働きが備わっています。これにはいくつかの酵素が関わっているのですが、イソチオシアネートはこれらの酵素に働きかけ、その解毒能力を高める効果を持つことがわかっています。

最近の研究では胃や食道、大腸、直腸、肺などにできた初期の癌を縮小化させる、乳癌の重症化・再発率を低下させるなどといった調査結果も明らかになっています。今後の展開が大いに期待されます。

2.肝機能の改善(カゴメの研究)

イソチオシアネートには肝臓の機能を改善する働きがあることがカゴメなどの研究によってわかっています。肝臓機能が高まることで体内に作られた毒素を無毒化して体外に排出する働き、新陳代謝を高めて体を活性化する働き、コレステロール値を下げ動脈硬化を防ぐ働きなどが期待できます。

肝炎の発症を抑えるなどといった直接的な効果はもちろんですが、二日酔いしにくくなる、全身の倦怠感が緩和されるなど目に見えやすい作用も期待できます。

3.血栓の予防

イソチオシアネートには血液をさらさらにする働きがあり、血栓が作られるのを防いでくれます。血圧が下がることから心疾患や脳卒中などの予防にもつながります。

4.抗酸化作用

抗酸化物質というとビタミンCやEなどがよく知られていますが、これらの効果が持続するのは極めて短時間であるのに対し、イソチオシアネートは摂取してから3日間継続することがわかっています。そのため、生活習慣病の予防やアンチエイジングなどあらゆる分野で大きな効果を期待することができます。

5.胃・十二指腸トラブルの予防

イソチオシアネートには胃癌や胃潰瘍、胃炎、十二指腸潰瘍などの原因となるピロリ菌を殺菌する作用があることがわかっています。ピロリ菌は胃の粘膜に棲みつく細菌で、検査により発見されたら薬による除菌治療が行われます。

本来ピロリ菌は強酸性という厳しい環境に耐えて生息する非常に強い菌なのですが、イソチオシアネートの入った青汁を飲むことで胃癌などのリスクを低減化させることができるわけです。

6.ダイエット

イソチオシアネートにはアミノ酸の生成を促す働きがあります。これにより代謝が高まり、太りにくく痩せやすい体へと導きます。また、イソチオシアネートには内蔵脂肪の蓄積を抑える作用があるという研究結果もあります。

7.花粉症の症状緩和

イソチオシアネートには免疫力を強化する働きがあります。特にスギ花粉が引き起こすアレルギー症状を緩和する作用があることが東京理科大学とカゴメの共同研究から明らかになっており、治療薬への期待が高まっています。

このように、現代人を悩ます多くの問題に対して、イソチオシアネートはいくつもの希望を投げかけてくれています。今後のさらなる研究が待たれるところです。

イソチオシアネートを摂るにはどの青汁を選ぶといい?

現在、ほとんどの青汁が大麦若葉かケールをベースにしたもの。この他には明日葉や桑の葉をベースにしたものも登場しています。これらの中でイソチオシアネートが摂れるのはスルフォラファンが入っているケールだけ。イソチオシアネートを目的として青汁を飲むのなら、ぜひケール100%の青汁を選びましょう。

飲みやすさで人気がある大麦若葉などには残念ながらイソチオシアネートは含まれていません。でもケールの青汁は苦手……という場合には、大麦若葉などがベースであってもケールやブロッコリー、小松菜などが配合されたものを選ぶようにしてください。

ケールといえば青汁素材の元祖。当初は高い栄養価とバランスの良さ、そして一年を通して良質のものが採れることから、当時ほとんど日本では知られていなかったケールが選ばれたのだそうです。ケールに目をつけた青汁の父・遠藤仁郎博士は素晴らしい目利きだったということになりますね。

イソチオシアネートの注意すべき点

現在までにイソチオシアネート摂取についての副作用は報告されていません。そもそもイソチオシアネートは体内に蓄積されるものではないため、害についてはそれほど考える必要はないでしょう。

ただし一点、イソチオシアネートにはヨウ素(ヨード)の吸収を阻害する作用があります。イソチオシアネートを過剰摂取すると甲状腺ホルモンの合成が抑制されることから、甲状腺刺激ホルモンの分泌が増加し甲状腺が腫れる可能性があります。

日本人は普段からヨウ素を多く含む海藻を食べる習慣があることから、これについてはほとんど影響はないとも言われています。気をつけるべきはスルフォラファンのサプリメントを1日量を超えて大量摂取するなどのケースで、例えばケールの青汁をたくさん飲んだからといってそれほどの問題はないでしょう。

とは言え、安全性が高いものでも度が過ぎればバランスを崩すもととなります。イソチオシアネートをはじめとした素晴らしい成分の宝庫である青汁。ぜひ適量を守りながら、毎日の生活に取り入れていきましょう。

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